血友病の治療

1血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤による治療

血友病の治療の基本は、不足している血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子を注射によって補う補充療法です。
補充療法には、定期的に注射する①定期補充療法、スポーツなどのイベントで出血を起こさないように予備的に注射する②予備的補充療法、出血した時に注射する③出血時補充療法の3種類があります。

定期補充療法

週に1回~数回、定期的に血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤などを補充する方法です。血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子活性が低くなると出血が起こりやすくなります。そのため、血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子活性の高い状態を長時間保つことで、出血を起こしにくくすることができます。
また関節内出血を起こさないようにすることによって、血友病性関節症の発症を予防することができます。

月・水・金に注射した場合の血液凝固因子活性の推移イメージ

月・水・金に注射した場合の血液凝固因子活性の推移イメージ

血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤を補充すると、グラフのように血液凝固因子活性値はいっきに高くなりますが、時間の経過とともにその値は低下し、低値の時は出血リスクが高まります。

個別化定期補充療法

血友病の方によって、ライフスタイルや血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子活性は異なり、個々に合わせた最適な治療を行うことを個別化定期補充療法といいます。
この補充療法では、ライフスタイルや出血の程度、関節の障害の程度、血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤を注射した時の凝固因子活性の推移などを考慮して、最適な注射量や注射間隔などが決められます。そのため、現在の治療が合っていなかったり、出血を起こしやすい場合に行われることがあります。
個別化定期補充療法によって、ライフスタイルに合わせた注射量や注射間隔に変更され、出血を起こしにくくすることが可能になります。
例えば、サッカーなどの激しい運動を伴うクラブ活動をしている時を、血液凝固因子活性が高くなる時間に合わせて注射することができます。

個別化定期補充療法のイメージイラスト
予備的補充療法

運動会や遠足、スポーツなど出血する可能性が高い活動の前、または歯科治療や手術など出血が予想される行為の前に、予備的に血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子を補充して、出血を防ぐ方法です。

出血時補充療法

出血した時に、血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤を補充する方法です。
出血時に、できるだけ早く補充することが重要になります。
血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤の注射量は、出血部位や目標とする血液凝固因子活性値から決めます。

出血時に注射する場合の
血液凝固因子活性の推移イメージ

出血時に注射する場合の血液凝固因子活性の推移イメージ画像

2バイスペシフィック抗体による治療
バイスペシフィック抗体による定期治療

近年、新しいバイスペシフィック抗体を用いた第Ⅷ因子の代わりになる製剤が発売されました。この製剤は、第Ⅷ因子の代わりに第Ⅹ因子と活性型第Ⅸ因子を結合して、活性型第Ⅹ因子を作る役割をもっています。治療方法は、定期的に週1回から4週に1回、皮下注射します。

バイスペシフィック抗体による治療のイメージ画像

3出血時補充療法と併せて行うケア
RICEによる出血時の治療

出血時には、できるだけ早く補充療法を行うことが重要です。
また、同時に補助的な止血法である「RICE(ライス)」を行うことも重要になります。
出血がみられたら、できるだけ早くこれらの応急処置をすることで、痛みの軽減や 再出血の予防につながります。

RICE(ライス)

補充療法と並行して行う出血部位の補助的ケアです。症状を軽減し、再出血を予防するために重要な処置です。

  • Rest 動かさない

    Rest 動かさないのイメージ画像
    出血後や出血を感じた時は、出血部位を安静にします。
  • Ice 冷やす

    Ice 冷やすのイメージ画像
    氷のうなどをタオルに包み出血部位に当て、冷やします。
  • Compression 圧迫する

    Compression 圧迫するのイメージ画像
    出血部位を清潔な布で押さえ圧迫止血します。関節内出血では、包帯やサポーターなどを使って、出血部位を押さえます。
  • Elevation 高くする

    Elevation 高くするのイメージ画像
    出血部位を心臓より高い位置に保ちます。